佐賀新聞掲載コラム日だまり-P12

■地球温暖化とオイルマジック  掲載日2007.03.06

 地球温暖化防止推進員研修が今年も佐賀県地球温暖化防止センター主催で数回行われた。そのなかでも興味深かったのが食と温室効果ガスという題材のなかでのオイルマジックという現象だ。
 研修ではスーパーの食品売り場の広告チラシを参加者各自が持参し、世界地図の上にどの食材がどこから来ているかを切り張りするワークショップを行った。驚くことに、わが国は世界中から多くの食材を輸入し、私たちは意識せず諸外国から持ち込まれた食材を口にしている。
 問題は、例えば白石で取れた玉葱(たまねぎ)よりオーストラリアで取れた玉葱の方が価格が安かったりするのである。冷静に考えると絶対におかしい。たくさんのオイルを消費し、温室効果ガスをまき散らし地球温暖化を促進しながら、はるばる海を渡ってきた玉葱の方が近くの畑で取れた玉葱より安い現実。そこにはトリックがあり、国内の非常に高いオイル課税と貿易用オイルに対する非課税といったオイルマジックが存在するようである。
 個人ではどうすることもできない状況で、子どもたちに残すべき地球環境のことを考えると、強い理念と意志をもって食の選択も問われる時代である。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■「世間遺産」  掲載日2007.04.03

 地域連携による郷土の文化遺産の保存・活用を推進するために、伝承遺産を受け継いで子どもたちの明るい未来を約束する。そんなテーマで三月、長崎市で「九州伝承遺産ネットワーク・シンポジウム」が行われた。
 世界遺産の話題がその中心であったが、興味深かったのは事例紹介で話題になった「世間遺産」だ。NPO法人かごしま探検の会の東川隆太郎氏は、その土地に残る言い伝えや歴史にかかわるさまざまな場所、人、物から興味深いものをみんなで見て歩き、土地の人たちから背景を調査し、自ら「世間遺産」として認定する。それらをデータベース化し、リストアップされている。
 要するに世間話の中で、どこかに何か変わった不思議な場所があったとして、その由来や背景を調査すると意外な事実に遭遇したりする。そのような事をリストアップし、「世間遺産」に認定し、多くの人に認知していただくことで、地域の資源や歴史文化に気付き、はぐくんでいこうということだ。
 佐賀でも、あそこは雰囲気が良いねとみんなが思っていても、翌日には壊され駐車場になることが考えられる。大勢の人が感じている地域に対する、ささいな思いを認定し大切にする。こんなことが地域づくりの原点なのだろうと感じた。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■コミュニケーション力  掲載日2007.05.01

 人に対し何か、仕事だったり社会活動だったりしようとする際、要求される能力にコミュニケーション力がある。専門的な技能よりも、この力の方が多くの場面で重要だったりする。ストレスなく、心地よく社会にかかわっていくためには情報の伝達をスムーズにしていくことは大切だ。
 インターネットが普及し、個人の資質と考えられていたコミュニケーション力が企業や行政にも求められるようになってきた。企業や行政が社会に対して何を行い、それがどう評価されているかを知り、効率よく結果を出すには、この力は必要なのである。
 商工会の中に組織されているTMOさがは?さがさんブログ?を昨年立ち上げた。このブログを通して佐賀の中心市街地にどのような人たちがいて、どんな活動をしているか、どんな事が楽しめるかといったことが複数の情報ボランティアによってほぼ毎日書き込みされている。
 ブログといったものが個人の趣味趣向から始まり、今や企業や地域の日々の出来事までも人がかかわり、利用者に知らせる有効な手段として利用され始めた。まさにコミュニケーション力こそ地域力の原点である。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■地域活性化事業の公開審査  掲載日2007.05.29

 平成十九年度ほのお博記念地域活性化事業の助成団体を決める公開審査会が、佐賀県CSO推進機構と佐賀県県民協働課により、佐賀市と唐津市の会場で五月十九、二十日の二日間にわたり行われた。
 今年は採択予定二十五団体に対し、六十二団体の応募があった。自殺防止を呼び掛ける「命の電話」やオートバイによる災害救援活動、国際交流、環境保全、文化芸術での地域活動、まちづくりなどさまざまな分野で活動している市民団体によるプレゼンテーションが、それぞれ五分の持ち時間で次々に繰り広げられた。
 事前に提出された事業計画書と短時間でのプレゼンテーションの結果で、半分以上の団体は残念ながら助成対象から外れることになる。採択されない団体の活動の中には、公益性が高く地域社会にとって必要と思われる志の高い活動も数多い。
 市民活動団体の熱心なプレゼンテーションを二日間通して聞いて思ったのは、公開審査会の様子を広く市民に発信することで、市民が必要だと感じる事業や活動に対し、自分たちで自ら応援し支援していける、そんな仕組みづくりが必要だと感じた。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)