佐賀新聞掲載コラム日だまり-P16


■隣人まつり  掲載日2008.09.09

 隣人まつりとは9年前、フランスで始まった地域コミュニケーションのためのイベントだ。
 きっかけはパリのマンションで起きた老人の孤独死。近所とのコミュニケーションがなかった事で一月もの間誰にも気付かれなかった。誰か知っている人が近くに居たら悲劇に繋がらなかったのではとの思いで、区議会議員だったアタナーズ・ペリファン氏がNPO活動等を通じ地域の人達に呼び掛けをした事から広がった。
 情報化社会が進み、生活が便利になったのと同時に地域でのコミュニケーションの機会は少なくなり、高齢者や子供達の孤立化が進行している。これは日本だけの事ではない。
 この隣人まつりは世界規模で広がり、日本でも各地で開催されている。
 佐賀では9月28日、日曜日の11時〜14時まで佐賀市どん3の森ふれあい広場でNPO法人さが環境推進センターの呼掛けにより行なわれる。参加自由で、参加者が各自飲み物や食べ物を持ち寄る。テント、椅子テーブルが用意され、知らない人同士自由のおしゃべりの場が無料で提供される。
 きわめてシンプルな地域コミュニュケーションイベント、佐賀でどう展開されるか楽しみだ。。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■三重津海軍所跡から  掲載日2008.08.12

「三重津海軍所跡から佐賀を元気にする事業」これは佐賀市の市民活動啓発委託事業公募で今年採択された市民団体と佐賀市との協働事業だ。
 三重津海軍所跡は佐賀市の川副町と諸富町の境に存在した蒸気船用ドックを有する日本最初の海軍所で、1858年佐賀藩によりここに設立された。
 アヘン戦争後、欧州のアジア植民地政策に危機感を抱いた佐賀藩が世界情勢を見据え欧州の近代技術をここ三重津に持込み研究した。言わば日本近代技術のルーツと言える場所だ。
 その後、長い間放置され、今は公園となりその土の下で奇蹟的に江戸時代そのままの形状を保ち現在も眠っている。
 今年2月、他県のシンポジウムで英国から来日した世界遺産、産業遺産分野の権威スチュアート・スミス氏は、三重津海軍所跡の存在を知り自ら三重津を訪れその価値を確認した。
 嘗て佐賀は、世界最先端の近代技術を研究していた場所だった。世界遺産級で日本近代化のルーツである遺跡が文化財の指定もされず、ここ佐賀に眠っている。この伝承遺産をきっかけに佐賀を元気にしようとする事業が始まる。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■ていねいに暮らす 掲載日2008.07.15

   「ていねいに暮らす」これはNPO法人さが環境推進センターが今年4月から発行を始めた季刊誌の名称だ。  同NPOが急速に進む地球温暖化や身の回りの環境問題を解決する為に何が必要か、どうすれば良いか考え活動を続けた末、手間ひまをかけ「ていねいに暮らす」を実践することで豊かな自分に出会え環境にやさしい暮し方につながると言う理念に辿り着いた。
   例えば、使い捨て紙おむつは忙しい人にとっては救世主となり手間がかからないことで急激に普及した。しかし今、手間の掛る布製品が見直されている。身体からの排出物を急激に吸収し固める化学物質を直接身体に装着することが、人の健康に良い訳がないということだ。
   自分に時間ができること、大量に消費することの代償として赤ちゃんに危険な状況を与えているかも知れないというリスクに気付くべきだという。
   それは、現代社会の営み全てに当てはまるようだ。手間ひまをかけない分、便利になった反面、その歪みがいろんなところに生じ地球環境までもおかしくなった。今一度その便利さが地球環境や私達の身体にとって安全なのかどうか検証が必要なのかもしれない。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■中心市街地の魅力 掲載日2008.06.17

 現在、鹿児島で2つのプロジェクトに携り月3度程のペースで通っている。その度いろんな場所を案内して頂く。鹿児島市内には大正時代からの山形屋デパートが大きく通りに面し、桜島、天文館、名山堀等印象づける幾つもの場所が市の中心部にある。
 ふと考えると、逆の立場で佐賀へ案内する時は何処へお連れするか浮かばない。郊外大型店舗周辺は、どう考えても無しである。中心市街地の白山、呉服元町、松原川沿いを歩き徴古館から城内へ回遊するコースは有るが、途中、目を伏せたくなる場所もあり、寄り道する魅力的な場所も少ない。
 新聞報道で市の白山アーケード内ビル買上げやハローワークの移転問題等あり中心市街地問題が再び際立ち、中心地不要論と中心地再生論が白熱している。
 佐賀の中心市街地には、東西方向に幾つもの川が流れ、南北方向に多くの古い橋が掛り石積み護岸や古い樹木などの歴史的景観資源がまだ数多く残っている。そんな先人から受継いだ景観資源に地域の人達が気付き、他所に無い佐賀の魅力に磨きを掛けて行こうとする気運になる事を願いたい。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)