佐賀新聞掲載コラム日だまり-P15


■ハコづくりから魅力創出へ  掲載日2008.04.22

 熟成した社会に本当に必要なものは何だろう。採算の取れない余計なハコモノは必要無いであろう、しかしなにもしない地域は、経済が沈み人も街も元気をなくし、その地域の存在自体すら危なくなる時代だ。
 私達の住む地域には、その土地の風土と共に場所特有の歴史や文化が数多く残っている。
 多くの人は、美しい景色や景観は、当然のようにいつまでもそこにあるものだと思い意識すらしていない。実は、その景観も手間と時間をかけ皆で育み守っていく必要がある。残念な事に、気がついた時には多くの魅力的な景色が無くなってしまっている事も多い。
 地方都市が地域の魅力づくりに力を入れ、今となっては消滅してしまった美しい景色や、まだ残っている景観資源の再生を、事業として捉え、そこに住んでいる市民に託し地域住民に還元する形で行なえば、その地域の大勢の人が元気になれるだろう。
 しかしその景観に価値を見出せない住民も大勢いる事も事実で、壊さないためのルールづくりや啓発活動も同時に必要だ。
 足もとに沢山の地域の魅力が残っている。その魅力を活かすも殺すも実は市民である。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■情報化社会と犯罪  掲載日2008.05.20

 パソコンが普及し始めほぼ20年、携帯が普及し始め約10年、世の中の状況はめまぐるしく変化した。今や高校生の9割近くが携帯を持つ世の中だと聞く。
 コミュニケーションツールであるパソコンや携帯を介しあらゆる情報が飛び交う中、人の心の隙間を狙う犯罪が増えているのも事実である。
 5年程前、ヨハネスブルグから私の元に1通の電子メールが届いた。送り主の亡き祖父の財産を現在預けてある銀行から引出し、私の口座へ一旦移して欲しいと言う内容で、そこには膨大な金額と謝礼も記述してあった。家族を助けて欲しいので来て欲しいという文章だ。
 不信に思い調べた結果、そのような詐欺、誘拐がひとつの産業として存在していた事が解り、実際に誘拐された日本人被害者が要る事も解った。
 人は、ある情報に対し運命的なチャンスだと錯覚に陥る事がある。便利なコミュニケーションツールが普及したと同時に、縁がないと思っていた危険な環境も、手の届く所まで近付いてしまった。
 そんな危ない社会状況に居るという心構えが今必要なのだろう。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■中心市街地の魅力 掲載日2008.06.17

 現在、鹿児島で2つのプロジェクトに携り月3度程のペースで通っている。その度いろんな場所を案内して頂く。鹿児島市内には大正時代からの山形屋デパートが大きく通りに面し、桜島、天文館、名山堀等印象づける幾つもの場所が市の中心部にある。
 ふと考えると、逆の立場で佐賀へ案内する時は何処へお連れするか浮かばない。郊外大型店舗周辺は、どう考えても無しである。中心市街地の白山、呉服元町、松原川沿いを歩き徴古館から城内へ回遊するコースは有るが、途中、目を伏せたくなる場所もあり、寄り道する魅力的な場所も少ない。
 新聞報道で市の白山アーケード内ビル買上げやハローワークの移転問題等あり中心市街地問題が再び際立ち、中心地不要論と中心地再生論が白熱している。
 佐賀の中心市街地には、東西方向に幾つもの川が流れ、南北方向に多くの古い橋が掛り石積み護岸や古い樹木などの歴史的景観資源がまだ数多く残っている。そんな先人から受継いだ景観資源に地域の人達が気付き、他所に無い佐賀の魅力に磨きを掛けて行こうとする気運になる事を願いたい。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)

■ていねいに暮らす 掲載日2008.07.15

   「ていねいに暮らす」これはNPO法人さが環境推進センターが今年4月から発行を始めた季刊誌の名称だ。  同NPOが急速に進む地球温暖化や身の回りの環境問題を解決する為に何が必要か、どうすれば良いか考え活動を続けた末、手間ひまをかけ「ていねいに暮らす」を実践することで豊かな自分に出会え環境にやさしい暮し方につながると言う理念に辿り着いた。
   例えば、使い捨て紙おむつは忙しい人にとっては救世主となり手間がかからないことで急激に普及した。しかし今、手間の掛る布製品が見直されている。身体からの排出物を急激に吸収し固める化学物質を直接身体に装着することが、人の健康に良い訳がないということだ。
   自分に時間ができること、大量に消費することの代償として赤ちゃんに危険な状況を与えているかも知れないというリスクに気付くべきだという。
   それは、現代社会の営み全てに当てはまるようだ。手間ひまをかけない分、便利になった反面、その歪みがいろんなところに生じ地球環境までもおかしくなった。今一度その便利さが地球環境や私達の身体にとって安全なのかどうか検証が必要なのかもしれない。
(アルフデザイン代表 三原宏樹)