佐賀新聞掲載コラム日だまり-P14
■地球環境と生命力 掲載日2007.12.11
環境・健康フェスタが先月、佐賀市エコプラザで行われた。そのプログラムの中で吉田俊道氏による生ごみを使った有機土と有機野菜の作り方講習会が開かれた。
私たちは、土の恵みを食し生きている。現在市場に出回っている多くの農作物は、カテキン、リコピン、アントシアンなどの抗酸化物質含有量が五十年前に比べ十分の一程度に減少しているという。このことは、生命力に乏しいものを食している私たちの体の抵抗力が弱り、薬で環境を調整しようとする悪循環の原因となっている。
生命力溢(あふ)れる抗酸化物質を多く含む野菜には病害虫もつかないという。今の時期、路上に溢れる落葉も生ごみも、生命力の源なのだ。
生ごみを腐敗させずにうまく土に戻し循環させることは、地球環境を守り地球温暖化を防ぐことで、それはそのまま食育と繋(つな)がる。生命力に溢れた土からの恵みを食することが私たちの命の原点なのだ。土と接し土と暮らす地方での生活は本来、生命力に溢れる人間らしい暮らし方なのであろう。地球環境と私たちの生命力は決して分けて考えられないということをあらためて認識させられた興味深い話だった。 (アルフデザイン代表 三原宏樹)
■佐賀から見えたもの 掲載日2008.01.22
昨年十二月、九州伝承遺産ネットワークシンポジウムが佐賀市内の三会場で開催された。
九州各県のまちづくり市民活動家が佐賀に集合し、佐嘉神社を起点に願正寺、柳町と中心街を歩いた。過去二回の同シンポジウムで歴史的建造物を実際に使用し開催したのは佐賀が最初である。参加者の多くが佐賀の中心市街地に古い建物がまだたくさん残っている状況に驚きと興味を持たれた。
県庁所在地の市中心部に、戦前からある古い建物が現在の街並の中に隠されているのが非常に面白いというのである。住んでいる私たちが当然のように思っている昔からの景色は、この場所の歴史と文化を物語り県外の人たちからは、魅力にあふれて映るらしい。
古いものを壊し新しくした建物もたくさん存在するが、古いものを活(い)かし歴史を感じさせる景色の方が、今では斬新で魅力的に映る。最近、観光という意識が変わり比較的近くで、心安らぐ自分の場所を求める現在の社会状況がある。
懐かしい豊かな景色を残している佐賀市中心部が、福岡都市部など県外で暮らす多くの人たちにホスピタリティを提供できるかどうかで佐賀の将来は決まるような気がした。 (アルフデザイン代表 三原宏樹)
■豊かさの価値基準 掲載日2008.02.26
大量消費社会でのたくさんのモノにあふれた生活は本当に豊かなのだろうか。感性豊かな多くの女性たちは、高価なブランドバッグや服など、本質的に良いモノを持ちたがり、そのモノに愛着を持ち末永く使おうとする。私も仕事上家具を提案する際には、少々コストが上がっても長く使える本物を選ぶことを勧める。
古い建物には木、石、鉄、土など身近にある本物の素材が、建具、床、壁、天井などに贅沢(ぜいたく)に使われている。これらの素材をいかしリニューアルされた空間は、歴史的な深みのある雰囲気を醸しだし魅力的で興味深いものだ。
しかし大量消費時代の産物であるいわゆる新建材、木目や石模様をプリントした合板などで構成された空間は、三十年もすればリニューアルできない大量のごみの山を作ってしまう。
二十世紀後半から半世紀足らずの間に大量のごみを生産してきた現代社会。それらに囲まれインスタントな空間で暮らしてきた私たちの世代は、本当の意味での豊かさの価値基準を見失っていたのかもしれない。
地球温暖化阻止が叫ばれる中、もう一度豊かさの価値を見直し、本物を長く使う、良いモノを大切にする文化を定着させることの必要性を感じる。 (アルフデザイン代表 三原宏樹)
■文化と地域づくり 掲載日2008.03.25
文化と言う言葉が行政庁の何処に位置しているかを見ることでその地域の文化レベルを知る事ができると聞いた事がある。文化の捉え方の違いで、教育の下にあるべきなのか、教育の線上でなく地域の魅力づくりや観光の資源と捉えるかで大きく違ってくるのであろう。
佐賀には私達が気がついていない所に貴重な文化遺産が沢山眠っている。先月イギリスから来佐され川副町の三重津海軍所跡を視察された世界遺産の権威者スチュアート・スミス氏は、近代日本国の幕開けとして三重津海軍所跡が世界遺産となれる価値がある、と指摘された。壊されようとしていた佐賀美術協会創始者である山口亮一の旧宅は、市と市民の力で蘇り、その武家屋敷では毎年彼の人物顕彰展が行なわれてきた。今年はそこから佐賀の近現代美術アーカイブを作成しようと有志達が動き始めている。
文化は地域を蘇らせ人を元気にさせる潜在力を有する。文化を認識する事は同時に生活を楽しむ事だ。地方都市の佐賀こそ地域の文化を大切に育み、佐賀の魅力を認識する必要がある。文化とは地域づくりの上に位置すべきものなのであろう。
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